輪廻転生(または転生輪廻、あるいは単に輪廻、転生)に関して多くのエピソードが存在している。

ここでは「宜保愛子の心霊教室」(1992年1月20日第1刷/学習研究社)より紹介する。

輪廻転生は記憶の浄化作用があるが、浄化されずに転生する人もいる。

<福島県郡山市の女性の相談内容>

私には3人の息子がいます。長男が19歳、次男が17歳、そして三男が7歳です。ところで、この7歳の三男が、私たちにとても不思議な話をしてくれるのです。

人が死に直面したときの話や、死後の世界の話などは、よく耳にします。でも、自分がこの世に生まれ出てくるまでのことなんて、あまり聞いたことがありません。私の三男は、彼がようやく言葉を話せるようになったかどうかという、3歳のころのある日、突然、そんな話をしだしたのです。こんなふうに...。

「僕ね、交通事故で死んだんだよ。自転車に乗ってたの。遊びに行こうと思って、自転車に乗って、信号機のところまで来たら赤だったので、待っていて、青になったから渡ろうとしたら、大きな黒い自動車が来て、僕にぶつかったの。そしたら、何が何だかわからなくなって、その次に気がついたら真っ暗なところにいたの。

でも、歩いているんじゃなくて、空を飛んでるんだよ。どこまでも真っ暗な中を。自分でも、どっちに向かっているのかわからなくて、こわい、こわいって思ってたら、そのうち遠くに小さな光が見えたの。

その光が、どんどん大きくなってオレンジ色みたいになったと思ったら、僕、とても広い、明るいところに出てた。そのとき初めて僕、自分が畳のような、じゅうたんのような変なものに乗ってることに気がついたんだ。そうしたら、だれかが、うしろでいったの。“下を見てごらん。ほら、家が見えるだろう。中を見てごらん。おまえはこれから、あの家に生まれていくんだよ。とてもやさしい人ばかりの家だから、だいじょうぶだよ。私は神様からいわれて、おまえをここまで連れてきたんだ。私もいっしょに行くからね。”

見ると、それは白いヘビだったんだ。家の中には、お母さん、お父さん、お兄ちゃんたち2人、それにおばあちゃんも、みんな見えていたよ。ああ、僕はあの家に行くんだなって思って、何だか急にうれしくなったら、その途端にものすごいスピードで体が下に落ちていったの。周りが真っ暗になって、何が何だかわからなくなったんだ。

そのうち突然、トンネルを抜けたような...。と、自分の目の前に、空から見たとおりのお母さん、お父さん、お兄ちゃんたち、おばあちゃんがいたんだ。

あ、それから、約束どおり白いヘビさんも来てくれてたよ。いつも僕といっしょにいるんだよ。」

これが、3歳になった三男がある日、突然、一気に話し出した話の内容です。もちろん最初は、何だかわけのわからないつくり話をして、と思いました。この子は頭がどうかしてしまったのかと思ったくらいです。ところが、彼は真剣に、何度となくまったく同じ話を私たちに繰り返すのです。だれが聞いても、その内容にほとんど変化はありません。さすがに私たちも、もしかしたらと思うようになりました。

この三男は、上の2人とは年齢差が大きく、この子ができたと知ったときには正直いって、私もびっくりしました。でも、なぜかこの子だけはどうしても生まなければならないという気がし、主人もそういってくれました。

「あの家では、みんながおまえを待っていてくれるよ。」

と三男に白いヘビさんはいったそうですが、まさにその言葉どおりだったのです。彼は生まれると同時に、わが家になくてはならないアイドルとなったのです。

もちろんわが家ではもう、だれも彼の“生まれ変わりの話”を疑う者はいません。7歳になった今でも、だれかが彼にそのことを聞けば、彼は必ずまったく同じ話を繰り返しています。それがごく当然の事実のように。

また、残念ながら私たちの目には見えませんが、彼のそばにはいつも必ず“白いヘビさん”がいて、彼を見守りつづけてくれているようです。おかげで彼は、今日も元気です。

<宜保愛子さんのアドバイス>

人間は誰でも生まれ変わります。自分の前世が何であったのか、どんなところに生まれ、どんな生活をしてきたのか、ということに興味がない人はいないでしょう。

私たちは、霊界を旅している間に前世のことをほとんど忘れてしまいます。なつかしかった過去の生活、いとおしかった家族の顔さえも忘れてしまいます。

輪廻転生は前世を浄化する役割を持っています。霊界はそのためにあるといっても過言ではありません。

この世に生まれ変わるときは、前世のことはすべて脳裏から洗い流され、記憶にはまったく残りません。しかし、ときとして、前世の思い出の一部を記憶にとどめてしまう人もいます。

人はだれでも、一度も行ったことのない場所を通りかかったり、一度も見たことのない景色を見たときに、「あれっ、これはどこかで見たことがある。でもあまり遠い過去のことのようでとても思い出せない...」と、とまどってしまう体験があるのではないでしょうか。それこそが、自分の体験してきた前世の一片を思い出していることなのです。

人それぞれの持つ感性と性格によって、前世の記憶の思い出し方は違います。前世での生活を断片的に思い出す人、最後に迎えた死の瞬間を思い出す人など、いろいろなケースがありますが、自分にとって一番インパクトの強かった出来事を思い出す人の割合が、比較的多いようです。

相談者のお子さんのように交通事故で死んだ前世があるような場合には、臨終を迎えたときの衝撃があまりにも大きく、霊界を通っていく途中でもずっと忘れることができなかったりするようです。

このような場合には、学校の登下校などで同じ事故にあわないように注意してください。

子供さんが交通事故のことを口にしたのは、単に前世を記憶していたからだけではありません。実は同時にあなたの先祖霊が、そのような事故を起こさないように気をつけなさい、と呼びかけていたからなのです。

このように前世を思い出すことには、往々にして自分の先祖霊からの注意を聞くことができるという、たいへん幸福な面もあるのです。

これからも日々先祖霊に感謝し、幸せな毎日を送っていただきたいと思います。前世が交通事故のため短かったのですから、この世では長い長い充実した人生を送れますよう心からお祈りいたします。

ところで、子供さんが口走っていらっしゃった白い蛇の話ですが、これはいかにも子供らしい、想像の中の動物にすぎません。

架空の動物のことを口走ったり、キツネがそばにいたとか、オオカミが出たとかいい出す子供さんのお話はよく耳にします。彼らの口にする不思議な動物たちは、親たちが日常会話の中で話題にする動物を子供が想像の世界で形づくり、自分の前世体験の中に混入させたものなのです。

ですから、前世の記憶とは関係ありません。

あとがきで最後に書かれている宜保愛子さんのメッセージ

私がもっとも皆さまに訴えたいことは、自分たちの努力、これが何といっても一番大切なものだと思います。社会生活においても学校生活においても、自分の従事している職務や学校や家庭を、より大切に、向上するよう勉強してみてください。その中に、われわれの身近にいる霊たちの力ぞえがあったなら、どんなにか幸せかと思います。

皆さまの、より幸せを願ってやみません。

1991年12月

宜保愛子

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